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・▽のEDに滾った結果
・いつにもまして厨文章。イミフ。グロ、エロ。要はカオス。
・設定とか0。もうそういう突発ファンタジーだと思ってやってください。
大谷は抑えの利かない犬でも相手にしているような錯覚を覚えていた。
「三成、ちと落ちつけ」
なんて、憎き仇敵を目の前にしている三成に言ったところで何の効果もないことは、大谷自身が一番分かっている。もとより短気な男だが、徳川家康のこととなるとそれに拍車がかかるのだ。
とはいえ大谷は三成が理解するまで根気よく説明する気はさらさらないので、三成の熱が冷めるのを待たず、縷々として先を続けた。
「そこにいる徳川家康は、決して死なぬ。――――〝死なない家康〟だ」
そう、摩訶不思議なことを現実として淡々と言う。聞いていない三成に、届きそうで届かない音量でお伽草紙でも語るように続けた。
「一度西に沈んだ太陽がまた東の地から蘇るように、決して死ぬことはない」
何がおかしいのか大谷はくつくつと笑っていたが、ふと、「三成、聞いているのか?」と尋ねた。
「―――・・・」
愚問だ、と大谷は自答する。
大谷吉継に前へ前へ出ようとする犬の手綱を引っ張りとどめる気など毛頭ない。
「家康ウウゥウゥ!!」
――から始まる罵詈雑言の嵐。
伴って繰り出される目にもとまらぬ残撃の末、関ヶ原の舞台は血の海と化していた。
収まらぬ怒りに肩で息をする三成を見つめ、大谷は軽く息をついた。
◆
どれだけ絶望的な夜が訪れても、朝日は登る。織田信長が死んだ夜、豊臣秀吉が死んだ夜。歴代の覇者が地上から消えたとして、世界は止まっただろうか。答えは否、否にして否。
しかし、今天下に手をかけんとする徳川家康の命は――――・・・
「どういうことだ!?」
やはり聞いていなかったのだな、と内心吐き捨てながら大谷は迫る三成をあしらった。
「言ったであろう、・・・あの家康は、決して死なぬと」
あの、と大谷が指すのは昨日三成が家康を膾切りにしたあたりだ。
家康は、立っていた。傷は嘘のように癒えきり、ぴんぴんとしている。昨日と同様、僅かな笑顔を浮かべて二人を迎えている。どこか挑戦的で、それでいて慈愛に満ちた、三成の神経を逆なでにする家康の笑みだ。
「なっ・・・。・・・」
異様としか思えぬ光景。
何か夢幻を見させられているような。
そこまで考えた所で、三成がはっとなった。
「刑部!」
「お前の仕業か!?」と詰問されても、大谷の返事はすぐにはない。包帯の奥の瞳が細くなるばかりだ。
親友でなければ三成は即座に切り捨てただろう。
「ほう、」
この男特有の猫なで声で返事をされると、いつもの三成ならムッとするところだったが、内容が内容だけに押し黙った。
「主は喜ぶと思っていたのだがな、三成」
「なんだと・・・?」
何故家康が生きていたことを私が喜ばねばならんのだ!?
のれんに腕押し。泣く子も気絶するような殺気を立てて吠えたところで、大谷には通用しない。
のらりくらりと、言葉をかわす。
「主が徳川を憎む気持ちは、一度命を奪うくらいで満たされるとは思えぬ」
三成の心を覗きこむような眼だ。三成がひるんで目をそらすような事をしないと大谷はよく心得ている。じっと、瞳の奥を覗き込むような眼差しで、先を続けた。
「今日、明日も、主の心が晴れるまで徳川を殺せばいい。何、主を思ってのことよ」
人を不安にさせるような笑みを浮かべながら要らぬのなら消すぞという大谷の返事を、三成は聞いていなかった。
俊足の三成の姿はもうそこにはない。
「昨日と全く変わらぬ太刀筋・・・」
あっという間に、今日の命を散らした家康の様を見て、
「三成、・・・見やる方が飽きぬ前に少しは殺しの工夫を覚えることを勧めるぞ」
なんて、昨日と変わらぬ調子で大谷は軽く息をついた。
◆
憎悪の火は消えない。寧ろ、火種を燃え上がらせる触媒として〝死なない家康〟が存在するようだった。
「死ねぇえぇ!!」
大谷に本気で殺し方を変えてくれと頼まれるまで、三成は目にもとまらぬ速さで家康の手を裂き、腹を貫き、足を薙ぎ、首を跳ねた。家康は体中から血を流して絶命した。
「三成、未来永劫この繰り返しか?家康の内臓や骨を無事残して殺す主の優しさは認めるがな」
なんて焚きつけられた次の日は、手の先から関節をあらぬ方向にバキバキと折った。最終的にあばらを折られ、家康は口から血反吐を吐いて絶命した。
ある日には汚泥の中に頭を突っ込んで足蹴にした。最終的に肺を泥で満たし、家康は息を詰まらせて絶命した。
またある日には噛ませた轡を豊臣が誇る化け物馬に繋いで走らせた。最終的に顎が外れ、家康は舌を失って絶命した。
時折、性欲を満たすのではなく、ただ手段として家康の身体を凌辱した。
身を裂かれるような苦しみにひと際顔を歪める家康の中に熱を注ぎながら、首を絞め殺したこともある。
だというのに。
「何故だ・・・」
これだけ殺して殺して殺し貫いているというのに、三成の心は一向に晴れる気配を見せない。寧ろ、日を追うごとに三成の心は沈んでいく。
原因はなんとなく分かっている。二つばかり、殺した瞬間の快感を曇らせる要因を、件の〝死なない家康〟は孕んでいた。
まず、家康は抵抗をしない。
これは大谷に問いつめればすぐに答えが返ってきた。
「あれは何をされても明日には蘇る身ぞ、どうして生き抜こうと抗う必要がある?」
「・・・。・・・」
言われてみればもっともだと、三成の頭の冷静な部分が頷いた。
もう一つ。
〝死なない家康〟は、決して三成と口を利こうとしない。
「頭を垂れて詫びろ!!」
「・・・。・・・」
どれだけ家康の暴挙を罵り、罪悪を誹り、愚行を責め、己と神に許しを請うように強要しても、家康は一言も答えない。
朝日が昇り、蘇った身体で三成を迎える時と同じ頬笑みしか浮かべない。
言葉が通じていないのかとさえ思うが、痛みに堪え切れぬ声を漏らすあたり、喉は正常に働いているようだ。一度激昂した三成は家康の声帯を切り刻んだが。半日、ひゅーひゅーという虚しい呼吸音が耳に張り付いて剥がれなかった。
「何故だ!!」
だというのに、三成は〝死なない家康〟に問うことをやめない。
今日もまた、とどめの一撃を指そうとする際で三成は絶叫した。
「答えろ家康!!貴様、何故死なない!!」
三成の本末転倒な問いにも、家康の目は柔和な色しか浮かべない。
「何故、そのような目で私を見る!何故!!」
血飛沫が上がる。
「・・・・・・ただ黙って私に殺されるのだ」
弱々しい声は、今日はもう死んでしまった家康には届かなかった。
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