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やっさんドマイナー祭りはじめます。
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曲ファンの方すいません。信長様MADできてますね^^!!

松永先生・・・歌えっていう動詞・・・あれ、反則だと思います。
人が普段どれだけ勝手にイメソン妄想してると思うってるんですかありがとうございます。
 


 
 
 
 
『なあに、卿とて魔王の側に身を寄せていたのだ、万に一つ生きて帰る可能性だってあるだろう』
 
 最後に聞いたのはそんな無責任極まりない松永の声だった。
 家康は今、地獄の一丁目にいる。地獄がどんなものか見たことがないので分からないが、恐らくこんな有様をしていることだろう。
 
「   」
 
 暗い。何も見えない。いや、僅かに闇の中で闇うごめている。ざわざわと、わさわさと。何だか分からなくて、気味が悪い。
 
「   」
 
 今確かに、自分は『おーい』と喉を震わせたはずなのに。何も聞こえない。遮断されてしまう。
 
「 三千世界   。   海    刃?」
 
その歌意外、全てを拒絶するように。歌詞の言葉など存在しないとばかりに。
 刷り込み。刷り込み。刷り込んでくる。
歌は止まらない。無限装置のように続く。
止まらない歌は。無限装置のように続く。
 
 

 
 奇妙な光景だった。
 
「松永ァ!家康をどこにやった!」
「早々に答えろ!さもなくば斬滅してやる!!」
 
 三成と政宗、一つの月を背に抱え松永と対峙する。その目はどちらも血色に染まってどうにかなってしまいそうなほどの怒気に当てられていた。
 
「苛烈苛烈。卿らにも共闘の知恵はあったのだな?」
 
 剣呑極まりない二人の態度にも松永はどこ吹く風。あの人を食ったような笑みを浮かべたまま、挑発するような言葉を投げつけるではないか。
 
「しかし卿らには一つ残念な知らせを伝えねばなるまい」
 
 そう、今の松永は酷く楽しい気分でいた。
 
「卿らの太陽は二度と照ることはない」
 
 予想をはるかに上回り、家康は地獄の中で耐えていたのだから。
 

 
「    、   」
 
 そう頭で言い聞かせないと、思考すら断絶されそうだった。
関ヶ原から連れ去られ、朦朧とした意識の自分に松永は何と言っていた?
 この世ではない場所。根の国というものがある。そこは生者の行く場所ではない。死んでいる者だけがいける。生きている者ははじかれる。行き来できる者は、生も死も越えているということになるだろうか。そう、あの男特有の含み笑いをしていたような覚えがある。
 
「・・・。・・・」
 
 なるほど確かに、普通の人間ならもう精神が参ってしまうだろう。もう、三日はここにいる。
 慎重にも家康は一歩もそこを動かない。これもこれで、鋼の精神がなければなせぬ業だった。
 
「衣擦れ   惑うは、   ?静謐 ・・・」
 
 やっと出来ることが分かってきたのだ。
 亡者と共に歌う。もはや自分の姿も忘れ、うめき声にも近い歌声に合わせて歌う以外、家康に自分の声を取り戻す術はなかった。
 段々と意味不明な歌詞の全容がつかめてくる。何せ間違ったことを言うと自分の声が聞こえなくなるのだ。時間は余っている程ある。
何千、何万回と聞いたか知れない歌を手に入れるため、家康は耳を澄ませていた。
 

 
「否、内に光を持つからこそ、あの暗闇の中で何をなし得るか見出したのかもしれない。流石は東照。半日とはいえ、あの中で生きながらえていることが奇跡の様だ。しかし卿の紡ぐ歌は誰にも聞こえまい。いずれ、卿も歌うことになるだろうよ」
「blah blah blah,独り言は済んだのか?」
「質問に答えろ!家康はどこにいる!!?」
 
 刀を向けられた松永は顔をひきつらせるどころかますます笑みを深くした。
 
「そこにいる」
 
 意外な松永の返事に政宗も三成も瞬間、返事に詰まった。
 
「・・・・?」
「どこだ?」
「やれやれ。まだ卿らには見えていないのか?」
 
 子どもだましな夜闇に慣れた目では、真の暗闇は捉えられないということなのだろうな。
 そう、心底軽蔑するような口調で松永は吐き捨てた。
 

 
 家康は歌う。亡者の歌を。その蠢きの一つであるかのように。歌う。
 するとどうだろう。暗闇であることには変わりないが、音の反響で何となしに自分のいる空間の広い狭いが分かるようになってきた。
 瞳は開いたままだ。使い物にならないが。
 耳だけを澄ませる。そして歩を進める。
 自然と歩みは遅くなり、動作はゆったりとしてくる。日の下にいた頃のきびきびとした動きを思えば、怠慢なようにも荘厳なようにも感じた。
 
「            。喝采に似た鳴動に 黄金羊の夢を見る」
 
 亡者が揺れた。久しぶりに人の言葉を吐いたから。
 家康は歌う。それが彼らにとっての謝罪の言葉に当たった。さわさわとうなじや腰の肌があらわになっている部分に触れられる。何とも感じなかった。
 ならばと、家康が足を踏み出せば、闇の中の闇は家康の足場となる。踏み出せば身を支え、遥か頭上。
地上へと家康を運ぼうとした。
 
「!」
 
 家康が重いのか。まだ、亡者を寄せ付けぬ光を持つのか。濃い影達だけでは家康を支えきれない。
 歌に染められた家康の頭ではもう何も分からない。どうして地上にいきたいのか。どうして地上に出る必要があるのか。
ただ、行かなくてはならない。
 今のままではいけない。
 この二つだけは理解している。
 
「海を渡れ 高らかに 三千世界を踏みしめて」
 
 ならば、と家康は両の手を広げる。
 染め上げろとばかりに、頑なに守っていたはずの最期の矜持を放棄した。
 
 
 
 そうして人であることをやめてしまった。
 

 
「ああ、・・・卿らはついている。根の国が開くのも、そこから何かが帰ってくることも。とても珍しいことだ」
「な・・・」
「いえ・・・や・・・」
 
 黎明にも似た色をしていた戦装束は闇色に染め上げられた。フードの奥の眼は見開かれているというのに、何も映していないようだ。それくらいに、表情は硬い。
 背筋が凍る程に。声を失うほどに。神々しい。
 
「―――灰は灰に――塵は―――塵に―――」
 
 家康は歌う。そうして生者との距離をはかる。
 広い。ここは。そして少し灰に入るものが冷たい。
 水に似たあの質量はどこへ行ったのか。地上とは、このような場所なのか。生まれてきた赤子もきっと同じような感想を抱いているのだろう。なんて、家康が考えることはない。
 それこそ赤子同然に、家康は人の言葉を持ち合わせていない。どうしてここに来たかったのかなど、憶えていない。生まれた赤子に意志はない。
 
「Goddamn!!」
「家康!!返事をしろ家康!」
 
 家康の瞳は二人を捉えている。しかし映さない。
 
「無限回廊に身を寄せる 永久まどろみ身を任せ」
 
その様はからくりめいていて、そして残酷極まりなかった。
 家康が歩く。家康が歌う。歩き。歌う。
 一歩一歩に。その一瞥一瞥に。何かを殺す威力があった。
現に三成と政宗は大地に縫い付けられたように動けなくなっている。
 
松永だけが、頬を酷く歪め全てを見ていた。
 
「くくく、魔王に覇王・・・そして卿は凶王と呼ばれていたな。では卿に聞くとしよう」
 
 にたり、と悪魔のような笑みを浮かべ、今にも泣きだしそうな眼差しを家康に向けている三成に尋ねる。
 
「さて、ここにいるものを何と呼ぼうか?」
 
 
 
 
 ・・・恐山よりも恐ろしいものを及びそうな権現。
 黒権現覚醒シーンは想像するだけでも数パターンありえて楽しいお。

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