[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
フィニッシュしてません。書いている方の体力が足りなかった(老体)。許して。
会社で飲んだ上にあまつさえホテルの代わりにしようとは。すごい度胸だな、と自分のことは棚にあげて感想をもらす。仮眠室の映った人影がまるで女が男にしな垂れかかっている(実際それはまるでじゃ済まされなかったが)ように見えたので慌ててここに隠れたのだ。
自分一人なら狸寝入りでも惚けたふりでもどうとでもなる。やっと状況を理解した三成の顔を盗み見て、家康は自分の咄嗟の判断に安堵した。
「わー!待て待て待て」
三成の手をしっかり押さえておかないと今にも押し入れを蹴破って二人を懺滅しにいこうとする。
自分だって神聖な会社の仮眠室でちちくりあうつもりでいたことは、都合よく吹っ飛んでいるらしかった。あるいはアルコール摂取が決め手になったのかもしれない。人が死ぬ気で働いてる脇で、呑気に酒飲んでる奴がいたことは確かに腹立たしい。
「三成、頼むから押さえてくれ」
がるるるると威嚇の声をあげそうな三成に家康はひそひそ声で懇願する。暴れる三成の拳が何度か体にあたり、うめき声を押さえた。
「離せ家康!何故こんな出歯亀のような真似を…!」
三成が襖に手をかけようとしたその時、嫌に間延びした声が二人を貫いく。
女の勘が冴えたようだった。
「ねー…、ここ、誰かいるんじゃなーい?」
家康と三成のビシリと体が固まる。 男のやけに茶化した声が続いた。
「お化けこわーい?」
「違うってば、――――怒るよ?」
がらりと媚びるのを止めた女の地鳴りのような声に、三成と家康は思わず狭い押し入れの中で、ぴったりと身を寄せ合い息を潜めた。
(まずい・・・)
このドスの効かせ方は新入社員が昨日今日で身につけられるものじゃない。女の剣幕にのまれた男は不明として、女は中間管理、少なくとも局クラスだ。家康はおろか、三成とて敵う相手じゃない。彼女のネットワークをもって会社から滅せられてしまう。
現に男の方が、渋々そうに指示にしたがってそこら中を見渡し始めた。押し入れに手をかけた時など、三成と家康はそのまま膠でくっついてしまうんじゃないかというほど身を寄せ合って隠れようとする。
「誰もいないよー?」
幸い、逆側の戸が開けられ、二人は男のルーズなチェックを逃れた。
しかし、一難去ってまた一難。
というか、九死が容赦なく二人にふってくる。
「んん、」
安全確保が完了したということか。とうとう向こうの本番が始まってしまったのだ。
(ぎゃー!!)
泣きそうな、それでいて笑ってしまいそうな思いだった。くぐもった笑い声や布の擦り切る音が事態をますます現実味帯びたものにさせる。加えて、三成に体を預けきってあるようなこの体勢、一体いつまでたもってなければならないのだろうかと家康は気が遠くなった。
ちゃんと仮眠をとろうとしなかったバチがあたったんだろうな、なんて現実逃避に考える。
「!」
しかしバチは重なるもので、狭い押し入れの中で身動きとれなくなっている家康に三成の手が伸びてきた。家康は息をのんだ。
◆
「馬鹿、お前何・・・」
家康必死の抵抗も、「煩いぞ、見つかりたいのか」と三成は涼しい顔だ。
がら空きの喉に食いつけば、女が嬌声をもらした。甲高い声に、家康の体が大きくこわばる。
どきりと心臓が大きく跳ねた。堪えた声がもれたかと思ったのだ。
「嫌だ・・・」
なんて、本音がポロリとこぼれる。さっきまでの元気はどこにいったのか、初な小娘よろしく三成の上で縮こまっていた。逃げられる状況じゃない。せめて三成の手が止まるよう、嫌そうな顔をしてみせるのだが、三成は深夜のテンションにスイッチが入ったのか、どんどん積極的になっていく。
シャツ越しに家康の体をまさぐっていた手がボタンに手をかけた。
「あっ」
家康の声じゃない、それでも家康の顔は火が出そうなほど赤くなっていた。
三成の肩口に触れる頬の熱さに三成が笑った。…あまり爽やかな笑顔じゃなかった。
「感じてるのか?」
「違っ」
なんて三成の問いに否定の言葉を浴びせても、心の声を代弁するように嬌声が響いた。呼応するように家康の背が震える。
いいざまだと三成の顔が語って、家康のベルトに手をかける。既に熱を帯びてきているそれに触れれば、本物の家康の切なげな声がこぼれた。
「三成・・・」
上がりきった息の間で目の前の男の名を呼ぶ。
「どうしてほしい?」
なんて舐めきった台詞が降ってきたのでAVの見すぎだと言う代わりに吐き捨てた。
「・・・わしが、泣きながら挿れてしてくれと懇願するとでも思っているのか?」
険しい顔を努めて聞き返すが、答えなど貴様に聞かなくとも分かっていると三成の目が語っている。家康はこういう時の三成の目が恐ろしいと感じる半分、胸に違うざわつきを覚えていた。
「焦らさ・・・ないでよぉ・・・」
最悪のタイミングで女の泣きそうな声が聞こえる。ニタリと笑った三成を見て、こうなれば一蓮托生だ、大声で騒いでやろうと家康は息を吸い込んだ――――その時、
「家康!ケツは無事か!!」
「Parytimeは仕舞いだぜ、石田ァ!」
本物の出歯亀が仮眠室に飛び込んできた。
女の悲鳴が響く。
上へ下への大騒ぎになっている仮眠室で一人家康は、冷静な声で三成にささやいた。
「三成・・・命が惜しかったらこのまま大人しくしてたほうがいいぞ」
三成の返事はなかったが、家康には十分だった。
・ちょっと・・・。・・・ドラえもんにフライング土下座してくる。君の寝室・・・もう少しでラブホにするところだった。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |