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やっさんドマイナー祭りはじめます。
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・サラリーマンパロ
・SE?何それ、どんなお仕事かなんて知らないよ\^o^/

 

 

 





 コマンドプロンプトに出たメッセージに何度目になるかわからないため息を漏らす。耳タコもとい、目タコになったそいつを見て家康は苦痛に満ちたうめき声をあげた。
 今度こそと思っていたのだが、どうやらまたエラーが発生したらしい。

「官兵衞じゃないがな。言いたくもなるぞ・・・何故じゃ――っ!」

 軽く冗談を口にするも、声に元気がない。プログラミングの迷路に迷い込んだ家康は心身ともに疲弊しきっていた。中学、高校で。数学でどうしても答えが出ないとき、そんなうやむやもやもやしている感じと今の胸中は似ていた。
 プログラミングが苦手という訳ではない。苦手じゃないという事実は少なくとも嫌いではないことに繋がる。
 答えを誰も知らないパズルを解くような感覚はむしろわくわくさせるものだ。挫折や失敗も無駄にはならない。総てが繋がって、一つのシステムになった時など感涙ものである。
 しかし、こんな風に八方塞がりのドツボにほうり込まれると泣きたくなるのも確かだ。あーでもないこーでもないとエラーの元凶を探すのだが、こういう時のパソコンはつれないもので、ただただエラー表示を家康に冷たくつきつけてくる。

「外部データの呼び出しも違う・・・と」

 家康は「もう打つ手がないぞー」と泣きそうな声を出すのだが、隣の男が丸無視してくれやがったので虚しい独り言となってしまった。

「・・・。・・・」
「・・・。・・・」

 真剣な横顔に声をかけようかかけまいか迷う。

「三成ー、仮眠・・・」

 家康が言いきるその前に、

「煩い」

 三成の冷たい声がかぶせられた。家康の疲れきった声はあっという間に一蹴される。これ以上の会話は許さない。全てを拒絶するように、また絶え間無いキータッチの音が流れてきた。
 家康は力無く頭をかく。迫る納期にへろへろだが、三成の隣にいる限り自分なんてまだまだ序の口だと思えてくるから不思議なものだ。
 三成は仕事を終えるまでは仕事以外全てを受け付けようとしない。本能が寝食を必要としても全く聞く耳もたない。 ぶっちゃけいつ倒れてもおかしくないが、今のような三成の鬼の気迫に誰も何も言えないのだ。
 また、頭の固さ、融通のきかなさは有名なもので、開発が煮詰まった時、家康が企画したミーティングを無能の馴れ合いと斬って捨てたこともあった。

(悪気は・・・あんまりないんだよなぁ)

 仕事に一生懸命なだけ。なのに、冷たい態度と口の悪さが祟って業績のわりに悪評しかたたない。それが家康には歯痒くてしかたがなかった。
 今日の残業だってそうだ。プログラミング出来ない難しい無理の一点張りでいた女子社員をマジギレした三成が泣かせ(三成の厳しさは男女平等に働く)、完全に悪者扱いされている始末。 今、三成はその子がヒステリー気味に投げ出した分のプログラミングをやっている。

(どうしてこうなってしまうんだろう・・・)
 
 チームプレーとしては最悪の展開だった。

「はあ・・・」

 件の後輩はこれで彼とデートにいけると同期に嬉々してもらしていたらしい、先程届いたタレコミメールに家康は絶望すら覚えた。
 こんな状況、少なくとも家康は放って置けるものじゃない。明日にでもチーム全員で話し合わなくては、何とか三成についての誤解を解かないと・・・と疲れきった頭で考えるが、眼前の問題もまた、一向に解決する様子がない。

「ふわあ、あ、あ・・・」

 ため息も欠伸にかわろう。普段だったらとっくのとうに家に帰り着いている時間だった。
 隣の三成は量だけは酷くあるプログラミングを光の速さでこなしていく。職人芸の域にはいっているそれを見て、家康は感嘆の息つく前にしつこく寝るよう三成を諭した。

「コーヒー飲んでから寝ればすぐ起きれるから」

 こんな目茶苦茶な生活してたら、先に身体が壊れてしまう。焦りはミスの元だ。

「もう目途は立ってるんだろ?昼飯抜いてることも知ってるんだからな」

 眠気を堪えて滔々と家康は三成に語りかける。
 ピタッとキーボードを打つ手が止まったので家康は安堵で寝オチそうになった。 ふっと息をつけば体が重くなる感じがする。

「三成」

 仮眠室の擦り切れた畳も煎餅座布団も今となっては最高の寝具だ。二時間、いや、30分でいい。すっきりした頭で臨めば、こちらも事態が少しは進展するかも。
 今にもお休みなさいとつぶやきそうだった家康の顔は、

「――――貴様だけ行け」

 ありったけの軽蔑の眼差しを向けてくる三成のせいで冷たく強張った。

「・・・。・・・」

 三成の口は多くを語らない。眠い眠いと言うのは貴様だけだ。私を巻き込むなと吐き捨てるのは三成のドライアイ気味の目だった。
 それでも家康が引こうとせずに、さみしそうな顔で口を開けば、

「・・・でも寝ないと身体に」
「いらんと言っている!」

 恫喝された。

「・・・・・・・・・わかった」

 まるで腹を痛めて産んだ我が子に拒絶されたような顔をして、家康は力無く立ち上がった。 今は喧嘩する元気もない。地味に凹んだ心を引きずってこれ以上仕事を進めようとすれば、うっかり今までのプログラムを消してしまいそうだ。

「・・・あまり無理するなよ」

 お前の身体はお前が一番知っているもんな。家康は自分にそう言い聞かせるように部屋を立ち去った。

「・・・ふん、」

 邪魔者がいなくなった部屋、三成は一人パソコンに向き直る。まだ脳裏に家康のこわばった顔が残っていて、胸の奥がざわついた。
 イライラを昇華させるようにまた孤軍奮闘しようとしていた矢先。廊下から何やら楽しそうな声が飛んでくる。

「~~~・・・」

 人が寝ずに働こうとしているのに他人はのんきなものだ。三成が死滅しろ、とつぶやきかけその時、会話に聞き覚えのある声が加わる。

「なんだ、今日は泊まりなのか、家康」
「うーん。このままだとそうなりかねんなぁ」

 「飲むって約束だろ?」「スマンなー」という応酬に三成の額が青筋立つ。指の残像すら見えないといわれて久しいくせに、ミスタイプした。

「可哀相にな。Coffee奢ってやるぜ」

 ビキッ。

「仮眠室行くんだろ?なんなら俺が腕枕してやろうか?」

 ビキビキビキッ。

「ははは、元親の腕ならいい夢見れそうだ」

 ここらで三成の寛容は限界だった。子猫のミルク皿もない器とでも形容できるだろうか。

「家康!!!」

 廊下にまで届く大音声をとどろかせ、乱暴な手つきでエディターに保存をかけると、三成は立ち上がる。

 家康が心配した通り、寝不足で身体はふらついていた。


・きった!gdgdしすぎた!まあ、あとは仮眠室という名のラブホでいちゃこいてるだけだから←
・最近よくわかった。私、イライラしてる▽大好きなんだ(え)。PCの処理速度が遅いだけで懺滅させそうな▽を夢見てる。
 

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