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やっさんドマイナー祭りはじめます。
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・もはや別人な▲♀
・がっつり▽▲出来てる系。でも全然ラブラブしてない。
・少女漫画みたいな展開が許せる方のみどうぞ
 
 


  
 やわらかい小雨がふわふわと天から降りてくる。肌に張り付いて少し不快だった。
 これしきの雨、なんともない。官兵衛は雨の中、大阪城の庭を突っ切ろうとしていた。
 
「ん?」
 
 視界の端に曇天ではやけに目立つ色がかすめる。鮮やかな黄色の合羽(というと、言われた本人は困った顔をする。どこかジェネレーションギャップを官兵衛に突きつけるような笑みだ)を目深にかぶっているあの姿、間違いないだろう。
 
「おー、権現ー」
 
 髪が濡れるのを嫌ったのか。これしきの雨、という表現がしっくりくるような天候の中、家康の姿は少し浮いていた。浮いているというのが不適切なら、官兵衛は家康の姿に違和感を覚えた。
 官兵衛の知る家康は、こんな雨視界に入っていないようにふるまうだろう。少なくとも、髪の乱れを気にするような乙女心、官兵衛の知る家康は持ち合わせちゃいない。なんて断言すると失礼極まりないのも事実だった。
 権現、という官兵衛特有の呼びかけに気づいていないのか。家康は小雨降り仕切る空の下に立ちつくしている。
 洞察力に優れた官兵衛は頭にたくさんの?マークを浮かべる、しかし、じっとしている事のできない性が災いした。疑問の糸を断ち切って官兵衛は家康に近づく。
 
「お前さん、どうしたんだ?」
「・・・。・・・」
 
 耳に綿でも入れていない限り、この距離で官兵衛の言葉を聴き損ねるということはないだろう。つまりはわざとか、と官兵衛は少しだけむっとして歩調を強める。
 
「濡れるのが嫌ならさっさと中に・・・」
 
 そう伸ばしかけた腕が止まった。
 
「――。・・・」
 
 家康の顔は濡れていた。
 こんな天気だというのに。いや、こんな天気だからこそ、濡れた頬をそのままにしている。
 
「お前・・・泣いて・・・!?」
 
 家康の赤く充血した目を見て、官兵衛は驚いた。
 家康が泣いていることにではない。家康が泣いていると知った瞬間、自分の体が膨張した心に爆ぜてしまいそうになったのだ。こみ上げてきた激情に突き動かされる体は、頭の制止を聞いてくれなかった。
 
「あいつか!?」
 
 官兵衛がさんせい、とわざと三成の読みを間違えるときは官兵衛が三成にイラついているサインだ。しかし今は、イラつきなんて程度では済まされない。三成という名を出すことすら、官兵衛は我慢ならなかった。
 平生だったらいざ知らず、乱暴に肩を掴まれた家康がわずかによろけた。官兵衛も官兵衛で、家康の肩が見た目以上に細いことに(前髪でうかがい知ることができずとも)驚きを隠せない。
 それから官兵衛の目はゆっさ、と家康の豊かな胸の揺れに吸い込まれてしまう。セクハラ疑惑で三成の怒りを買ったのは遠くない過去の話だというのに、こんな時でも懲りない男だった。
 
「・・・。・・・」
 
 家康は何も答えない。口を利く余裕は、ないのだろう。開けば最後、弱弱しい嗚咽がこぼれ出てしまう。口は真一文字に結ばれたままだ。歯を食いしばっているのか、普段は柔らかそうに見える頬が、強張っているように見える。
 
「・・・。・・・」
 
 女であり、一人の武将である。そんな面倒くさい存在が家康だ。
 泣くことは何ら恥ずかしいことじゃない。なんて家康は高尚なことを言う陰で自分に本当に厳しい。どれだけ心が体が傷ついても、涙を見せようとしない。何を言っても、自分だけは例外であるとでも言いたげな振る舞いだ。
 本人、それを誰にも気付かせないように振舞っているつもりらしいのだが。官兵衛には通用しなかった。後は、本多忠勝含めた家康の忠臣が数名、家康の矛盾を心得ているくらいだろう。
 そこに三成の存在がカウントされないことが、官兵衛には腹立たしくて仕方がなかった。
 
「―――・・・」
 
 否定も肯定もない。官兵衛に向けられた相貌は、虚しくも強い光をたたえていた。
 官兵衛が飲まれる気迫としては十分である。
 
「あ、・・・いや・・・その、なんだ・・・」
 
 家康のまなざしに、官兵衛の声が裏返る。一通り気まずそうな声を漏らした後、
 
「・・・すまん」
 
 と、謝罪の言葉を口にした。一体、何に誤ってるのか官兵衛自身よくわからない。喉まで出かかった悪態の言葉は家康に睨み殺された。睨んでいるのに、瞳の奥が、懇願するように揺れているのだ。
 事を荒立てないでほしい。自分一人が、耐えれば。すべてが。すべて丸く収まると、家康の瞳が語っていた。
 
「・・・」
 
 余計に胸の内が荒れるのが分かった。怒りの矛先はそう、憎き石田三成に向けられる。
 家康がこんなになるなんて、あの男抜きに考えられない。
 きっと、ちょっとしたことで揉めたのだろう。喧嘩の原因なんていつも些細なものだ。しかし、家康が笑って受けなせなくなった時、この二人の関係は本当に危険になる。ぶつかり合いは避けられない。
 何が最悪って家康と三成の痴話(?)喧嘩はぶつかり合いにはなりきらないことだ。三成は家康が口応えする暇を与えない。どこまでも一方的だ。家康がまた忍耐を決意するまで、その心は三成にズタズタにされつづける。
 直接聞かずとも、官兵衛には家康に浴びせられた三成の罵声や怒号が安易に想像ついた。
 
「小生には、何も言えないようなことなのか?」
「・・・。・・・すまねぇ」
 
 家康はこれでうまく切り抜けたつもりだろうが、官兵衛の確信は真実へと昇華する。加えて、これほどまでの仕打ちを受けてもなお、三成をかばう家康の姿に怒りまで覚えた。
 
「・・・そこまで好きなのか?」
「え?」
 
 脈絡のない切り出し方に、家康は心底不思議そうな声をあげた。
  

 
 夢をみるというのもまた、この穴倉の中ではひとつの楽しみになってしまっていた。光を忘れ、音を忘れ、言葉すらも忘れそうになる中で、夢は官兵衛に懐かしい感覚を呼び起こさせてくれる。
 
「とはいえ、今度のはとんだ悪夢だったな・・・」
 
 けだるそうに身を起こす。まだまぶたに残る少女の濡れた頬を瞳孔に焼き付けるように、官兵衛はうなだれた。
 
「あの時、はぐらかさずに権現を抱きしめていたら・・・」
 
 少しは小生の運も変わっていたかもな。
 なんて、戻れない過去を嘆く、らしくない台詞が口から出てきそうになっていたので、官兵柄は激しくかぶりを振った。
 
 
 
・これで三成と家康の喧嘩の原因が官兵衛だったらすげぇ泥沼だなと思ってたwww
・なんかトライアングルの中での官家がRJA の F.a.c.e D.o.w.nなイメージって言ったら完全にDV・・・ですよねー

「本当あんたにはイライラさせられるよ」とか「こんなことは二度と起こらないって自分をだましてる」「それでもあんたは自分が正しいと言い張るんだ」とか好きな人がDVあってる男のもどかしい感情が全部ぶわーしてて歌詞曲ともに神。
 

・コメントで▲♀誉められたのでまた調子に乗った。この場を借りてお礼をさせてください、Hさまありがとうございます!
 

 

 

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