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アンケート結果一位だったので書かせていただきました。
全力で誰得設定パロを。マジで俺得でしかない勢いで。
前に没ネタ集であげた設定が尾を引いています。時間軸、人間関係超ごちゃごちゃ。おいしいところだけじわじわ続けて書こうと思います。
ネーミングセンスの悪さに突っ込んだら負け・・・orz
『貴様が竹千代だな』
ふと、家康の脳裏を鋭い声がよぎっていった。
竹千代と呼ばれておかしくない年頃の己が記憶の中で振り返る。目の前に用意されたごちそうよりも、テスト段階で置いてきぼりにしてしまった「忠勝」のことが気がかり仕方なく不意を打たれたこともすぐさま思い出した。
これは早々忘れられる記憶ではない。
『あ、ああ』
いつもだったらすぐに家康だと訂正をかける所だが、ふりむきざまに家康は射すくめられ、押し黙った。自分より頭半分ほど背の高い少年が、こちらの瞳を捉えて離さないのだ。身体の線は細く華奢な感じがするのだが、剣呑な雰囲気を隠そうともしない。
どこか人を威圧するような態度だった。印象がいいとはいえない。
少しだけ警戒を見せた家康の甲高い声が返った。
『ワシに用か?』
財界のお偉方が揃う格式ばったパーティーだ。子供の姿はほとんど・・・というより、三成とワシを抜けば全くいなかったな、なんて頭の中で再現されるにビジョンにコメントを挟む。
品のいいスーツを纏った大人たちにすれば己の会社の運命を決める大事な懇談会だ。誰もが人当たりのよい笑顔を浮かべているがその裏では、とんでもない裏のかき合いが行われていたことを家康はまだ知らない。美しいドレスをまとった社長令嬢たちが、血眼になって花婿を探しているのは何となく理解できても、どこそこのM&AやらFRBの動向やらを理解するにはまだまだ時期が早かった。
少なくともその頃の家康の興味は工学、というか「忠勝」に向かいっぱなしで帰ってこなかったのだから。
『ついてこい』
さら、と前髪を揺らして少年が身を翻す。有無を言わさぬ口調に家康の胸がざわついた。
『・・・?』
遊びに誘われているのだろうか?そう思っても家康には同年代の子供と遊んだ経験がほとんどない。自分のイメージしていた遊びの誘い方と少年の態度はずいぶん違う。というより、年相応の子供の態度じゃないなと自分のことを棚に上げた感想を漏らしていた。
しかし、せっかく暇を持て余していた所に渡ってきた機会だ。動きにくい子供版の礼服(半ズボンに白ソックスという典型的なダサさだ)にも飽き飽きしていた頃だし、ちょっとおっかなそうだけれどもこの子についていくのも面白いんじゃないだろうか。そう、どこまでも楽観的に頭が回っていく。
『ま、待てって、えっと・・・』
『石田三成だ』
『三成、』
1000人単位の人間を収容できるパーティー会場をずんずんと三成は横切っていく。気の強い少年に回る子分のように見えているのだろう、周りから微笑ましい視線が注がれているのが分かる。
これでワシが4学年とび級だと知ったら度肝を抜かれるんだろうな、なんて家康は子供っぽくニヤついた。家康は日本の教育制度なんてほとんど無視した帝王教育を受けている。自分よりも国語算数理化社会に秀でた家康を目の当たりにしたら、三成はどんな顔をするだろうか。そう思うとちょっとうきうきしてきた。
『三成、待ってくれ!』
叫びざまちら、と己を気に掛ける黒服の姿が家康の視界の端に入った。三河グループほどの大企業となればその御曹司にSPをつけるくらい当然だろうが、それは子守ではない。明らかに暇そうにしている家康に気のきいたこと一つ言えず、出来たばかりのお友達とつれだって会場を走っていく姿を眺めているだけだ。軽い足音を追おうともしない。
『三成!』
もしこの場に――テスト段階でもいい――「忠勝」がいれば、三成の異変に気づいていたのかもしれない。
しかし、全ては過去の話で、「もし」という言葉を切り離すことはできなかった。
ワシがもう少ししっかりしてればよかったんだよなぁ、とこれまた今になって家康が自分に無茶ぶりをする。知らないおじさんについていくなとは散々教え込まれたけれど、知らない子供についていくななんて、誰も教えちゃくれなかったのだ。仕方がない。
小さな歩幅ながらも一生懸命家康は三成の後を追う。三成は常時から歩くのが早かった。
一言も反応しない三成に家康が焦れた声で、
『なあ、三成―――』
一体、どこへ行くんだ?
問いかけようとして三成に抱きすくめられる。
激痛しか覚えていないが、あれはきっとスタンガンか何かだったのだろう。
◆
「―――家康、家康!」
「あ、ああ!!」
相当間の抜けた顔を晒していたのだろう、元親の口元が緩んでいた。
「どうしたんだ、一体?」
「いや、ちょっと昔ここに来たことを思い出してな」
BSRロイヤルホテル。この国の景気が愉快なことになっていた時期の産物特有のけばけばしさが目に痛い。遠くの電車からでもその姿を確認できる超高層建築。その最上階に設けられたパーティー会場は、今も昔も変わらずに華やかな衣装をまとった男女を迎え入れていた。
とはいえ、元親は正装が10分と耐えられなかったらしく、ご歓談くださいの合図と同時にタイを外して酒を煽り始める。不良の成人式を彷彿とさせる様子に家康が微苦笑を洩らしたのは言うまでもない。
それから少しだけ元親をうらやましく思った。
「お前も羽目外せばいいじゃねぇか」
「そうはいかない。ワシは一応独眼竜から正式に招待されている身だ」
そう言いつつ、家康は奥州ファームのイメージカラーである紺碧の垂れ幕を一瞥した。先ほどまで社長挨拶をしていた政宗の挑戦的な顔を思い出す。あの宣戦布告に、豊臣はどう動くだろうかと考えるだけで気が重くなった。
「しっかし盛り上がらねぇ宴会だな」
「まあ、呼ばれた客の半分は豊臣の息がかかった者たちだからな」
「分は大阪にありってわけだ」
豊臣系列の鉄鋼会社重役が脇を通っていったのを見送りつつ元親が吐き捨てる。元親も元親で豊臣傘下の企業が四国に進出してくるのを水際で止めるのに苦戦していた。
「時代は完全に豊臣に流れているな・・・」
豊臣秀吉が一代で起こしたとは思えぬ成長。その圧倒的な資金力を武器に、いままであった業界の均衡をことごとく薙ぎ払っていったのが豊臣グループだった。
「喰うか喰われるかは重々承知してるつもりだ。だがな、あいつらはやり方がきたねぇ」
そう、苦虫をかみつぶしたような顔をするのも仕方がないだろう。
「聞いたか家康、北条商会の爺さん、豊臣の秘蔵っ子に圧力くらって虫の息だとよ」
どっと沸いた場を眺めつつ、元親が家康に耳打ちした。寡黙な秘書を後ろに従え、座を盛り上げている北条氏政の姿にそんな様子は感じられない。東日本諸企業に悪い流れを伝染させたくないのか、その振る舞いは一種気丈にも見えた。
「ああ、独眼竜が動きだした。ワシも・・・避けては通れまい」
重い声に元親の隻眼の色が深くなる。「・・・家康、お前」「技術屋が好きなことだけやってられた時代は終わってしまったってことかもな」そう、同業者の元親に寂しそうな声を漏らした。
とはいうものの、同じロボット産業のフィールドに立つ家康と元親でも背負うものが違いすぎる。一途で頑固な三河の企業武士たちが明日の生活に困らぬよう家康は幼少期の頃から全力で「忠勝」開発にうちこんできたし、帝王学だって一端のボンボン程度にかじっている。今もまた、経営戦略のパートナーとなりつつある奥州ファームの正客として品の良い礼服に身を包み、業界の情報収集に余念がない。
「・・・・ハァ」
敵が誰でもない、豊臣であるというのが家康の胸を揺さぶってやまない。幼かったころの記憶がよみがえってくる。
後ろ手に縛られたガムテープや口の中に押し込まれたタオル。竹中半兵衛の冷たい声。三成の罵声。豊臣秀吉のあの、絶対的な眼差し。
――――そして、赤い赤い「忠勝」の眼。
「――――・・・・家康」
表情がこわばったのだろう、案ずるような眼で元親がこちらを見ていた。
「何、大丈夫だ。身体の方が二重生活に疲れてるんだろう」
「お前、大学なんて留学含めれば三回目だろ。しかも今回は薬学科だ?忙しいなら辞めてこっちの仕事に専念すればいいだろが」
元親が呆れるのも仕方がない。
大学生の年に大学生になりたかったんだと半ば本心からの告白をすれば豪快な笑い声を浴びせられる。今度はちゃんと体育会系サークルも入れるな、とからかわれ、うるさいなぁと段々家康の声も明るくなってきた時―――、
「!!!!」
家康の視界がとんでもないものを捉えた。
頼んでもいない鬼ごっこが始まる気配がする。
「み、つな・・・」
遊ぼうと誘うには、今も昔も三成の顔は怖すぎた。
奥州ファーム・・・ベンチャー系の総合研究所。というと聞こえはいいが、枠にとらわれない経営戦略でIT系、外資系、金融系の各ファームにいろいろ喧嘩を売っている。ぶっちゃけ業界では目の上のたんこぶ。その手の人に話をすると「ああ、奥州ね(笑)」みたいな返事が来る。
豊臣系・・・とにかくでかい。とにかく金を持っている。とにかく成長率が怖い。かつて日本の覇権を握りかけていた織田商事なきあとあたりから成り上がってきた。強引な買収と人材登用をバンバンやる。政府の方にも手をまわしているらしく、なかなか拮抗勢力が現れない。
はいはい設定厨乙www
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