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やっさんドマイナー祭りはじめます。
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 これだけ先に主張しておく。管理人は官兵衛が好きです。しかしどうやら▽▲←官が一番萌えるらしい。

 いきなりやってますごめん。

 



 

 壁に押し付けられた後頭部が悲鳴を挙げている。素肌が冷たい壁に触れる度、逃げ場はないということを思い知らされた。

「ふっ、・・・くっ」

 家康は。声を殺す。ぎちぎちと歯が軋み、その隙間から子犬のようなか細い声がわずかに漏れている。まだ受け入れきれない質量に、身体は異常事態の警鐘を鳴らし続けるのだが、家康は全身全霊でそれをないものにしようと努めていた。

「はぁはぁ、はぁ」

 時々思い出したように呼吸をおこなう。そうでなければ腹から上に血が巡ってくれそうにない。腹上死なんて言葉があるが、気絶が癖になる人間の気持ちが分かる。これほどの苦痛、意識を手放した方が手っ取り早い。
 掠れた視界はほとんど黒に染まっている。月光をさえぎる目の前の男もまた、家康同様獣めいた息遣いを隠せずにいた。

「   」

 耳元でも拾えるか拾えないかの音量。家康は三成がきゃんきゃん啼き喚く手合いが一番嫌いなことを知っている。もはや視線を合わせることはできないが、腰にまわされた手が少しだけ柔らんだ。
 家康は三成の表情を見る。

「・・・。・・・」

 ほほ笑んだ。余裕なんて等においてきているはずなのに。己を犯す男を安堵させるようとする。
 その微笑が三成の逆鱗に触れると学習することすら放棄して。

 

 

「・・・相性が、良すぎるのかもしれない」


 家康は、唐突に沈黙を破った。
 官兵衛は言葉の意味を咀嚼するためを見せかけて家康から眼をそらす。直視するに耐えがたい顔だった。

「・・・。・・・」

 もっと幸せそうに言ってくれればいいのに、言葉とは裏腹に家康の顔は思いつめていた。感情と正論が幾重にも折り重なり、自分の気持ちが分からなくなっている。己の真意を覗こうにも、もやもやと言葉にならない塊が酷い霧のよう邪魔をする。
 一瀉千里話そうとも話せない。絡まり合った思いはなかなか家康の口から言葉として紡がれようとしなかった。

「はっ、相性ね」

押し黙ること数秒、やっと吐きだした答えが『相性』ときた。
 しかも良すぎるだなんてな、なんて、官兵衛は鼻で笑う。家康ではない。自分自身を、だ。
 これ以上聞いて身が、心がもつ保証はない。怒りでまた身が煮えたぎり、どうしようない虚しさがそれを冷やしていくことは目に見えている。
 だけれども、官兵衛は家康の言葉の先を促した。

「それってのは、―――お前さんと凶王か?」

 分かりきった問いにも家康は自信がなさそうに頷く。「多分・・・」と普段からは考えられない程、頼りない声が帰ってきた。
 そしてまた、考え込むように眉間にしわを寄せて沈黙の海に沈んだ。



「・・・官兵衛、お前、三成に殴られたことはあるか?」

 また、唐突に家康が口を開く。今度の官兵衛は戸惑わなかった。

「そりゃあ、両手両足の指じゃ足りないくらいに。な」

 肩を大げさにすくめて吐き捨ててやれば、これまた分かりきった問いだったのだろう、さして家康は驚きもせずに続けた。

「じゃあ・・・その時の三成の顔、覚えているか?」
「鬼のような形相だ。それ以外に当てはまる言葉はない」

 凶王三成ここに極まりって具合だな、なんて軽口叩く。普段の家康ならはは、と乾いた声でもいいから笑う所だった。

「―――この傷をつけられた時」

 官兵衛は「どの傷だ」と苛々を隠さずに吐き捨てる。内心。内心だ。
 声に出して言う相手が違う。家康に詰っても意味がない。隠しているつもりだろうが、赤く、青く、黒く、そして紫に変色した被害者の肌を見て、加害者はどんな顔をするのだろう。官兵衛の中の三成がふん、と鼻をならした。見下すような、目つきを添えて。

「・・・。・・・」

 ここまでありありと三成の反応を予想できる官兵衛でも分からないことがある。分からないままでいたいことといっていい。

 三成は、気づいているのだろうか。
 衝動的に襲われ、犯され、嬲られ。朝が訪れる度に寝床にうち捨てられる家康が。拒否も抵抗も本気でしていないということを。まさか気づいていないのだろうか。
 だとしたらあいつは正真正銘の大馬鹿だ。知っているつもりだったが見解を改める必要がある。

「三成は・・・わしよりも辛い顔をしていた」

 家康は重々しく断言した。
 先ほどまでとは別人のような、強い意志のこもった語調だ。そう遠くない所に並び座る官兵衛は身体に風穴をあけられたような気分に浸っていた。
 閨事とはそんなものだったのだろうか。血と涙の染みがついて離れないものだったか。官兵衛は現実逃避に自問する。だとしたら、小生の知っている営みはまた別の名前が必要になるな。そんな旨の自答が帰ってきた。

「はぁ」

 何も事情を知らない者が見れば単に家康が夜な夜な折檻にあっているとしか解釈できないだろう。他の意味を見出すことは当事者たち以外、極めて困難な所業だ。官兵衛の重いため息に、

「なぁ、官兵衛。三成のすることは、全部本心からなんだ」

 家康は勘弁してやってくれという代わりにそう言った。瞼の裏にまだ焼き付いて離れないのだろう、ぶり返してきた傷の熱を耐えるような顔を見せている。

「――――・・・」

 官兵衛が動きを止めれば、そこから感情を読み取るのは困難になる。「分かるか?」と家康が尋ねるのも仕方ない。

「ふん」

 分かりたくもないね。なんて、冷たい言葉をぶつけてやりたい。傷ついた家康に追い打ちをかけるような真似、絶対したくないはずなのに、身体の内に渦巻く熱量は官兵衛を酷く残酷な衝動を駆り立てた。
 分かりたくもないのに、分かってしまう。小生は天才だからな、そう、口の奥で呟いといた。
 だから、やり場に困っている怒りを家康に向けてしまう。

(お前さんは優しい)

 でも、間違っているぞ。と、言ってしまえば簡単なことなのだろう。
 もしも、三成が家康への仕打ちを家康以外に向けたなら(考えたくないが、ひーひー喘がされる対象が官兵衛にうつったとしたら)、家康は三成を半殺しにしてでも止めるだろう。

『そんなことでは、人の心は手に入らない』

 三成に視線をそらすことなく、きっぱりはっきり三成の愛情表現を否定する。
 そこに三成に捨てられたくないとか女々しい感情はない。そもそも家康が三成の暴力に甘んじるのも嫌われたくない一心からではない。だてに水と油、光と闇呼ばれているわけではないのだ。家康と三成は、どこまでも対極にいる。
 家康の正義が三成の悪たりえる日はそう遠くないのかもななんて官兵衛は口の端で笑った。大方、大谷あたりが喜びそうな状況だ。
 家康のことを抜いても三成が気にくわなくて気にくわなくて仕方がない官兵衛だったが、家康にもいけない、というかいただけない所がある。

(どうして自分のことは棚にあげちゃうのかね)

 家康の語る人の心とやらに、家康自身は入らない。どうも自分と他人に深い深い溝をつくっているのが家康だ。性質の悪いことだが、無自覚に。
 誰かが傷つくのは心底嫌いなくせに、自分という犠牲を払うことを家康はいとわない。

「痛っ」
「す、すまねぇ!」
 
 触れようと伸ばした手は、不運にも家康の傷口に触れたのだろう。予想以上に大きな声が出たことに家康自身がびっくりしていた。
 官兵衛は条件反射に謝ってから、

「・・・そうだぞ」

 低い声で切り出した。

「お前さんだって、痛いんだろう?」

 別に神経がおかしくなっているわけじゃない。家康とて、人間だ。殴られれば痛いし、噛みつかれれば血が流れる。暴力を受けて喜ぶ性癖も持ち合わせちゃいない。
 なのに三成の前では平気な面して凌辱に甘んじる。受け入れようとする。
 ほんの少しの否定も、拒絶も。三成のむき出しの心を傷つけることになると悟ってしまっている。だから歯を食いしばって、声を殺して、自分を抑え込む。

「どうしてだ・・・」

 沸々と湧きたつ言葉は止まない。

「どうしてお前さんはっ、三成の奴の前ではそういう顔を隠すんだ・・・!!」
「・・・。・・・」

 大人げなく感情をぶつけてから、官兵衛は酷く後悔した。

「・・・。・・・」

 家康の顔は直視するに耐え難かった。

「・・・わからん」

 呟きざまに、すぅ、と家康の顔色が引いた。そのまま石にでもなってしまったかのように、辛いなら声を挙げて泣けばいいのに、ピクリとも動かない。
 官兵衛は直感した。
 身を引き裂かれるような痛みの果てで三成に見せる家康の顔は――――きっとこんなものなんだろう。
 菩薩のような頬笑みだ。憐れむような、慈しむような。顔も身体もこちらを向いているのに、瞳は遠くを見ている。正直虫唾が走る。激昂している時はなおさらだ。
 それでいて、手が出せない。釈迦や老子に手を挙げるような錯覚。そんな罰当たりなこと、出来るわけがない。

(辛いなぁ)

 この時初めて官兵衛は三成に同情した。

(こんな顔されて、好きだなんていえるわけない)

 寛容。慈愛。遍くものを愛そうとする顔だ。いつからか人間が失ってしまった感情だ。赤子の頃から持ち合わせていない。神と己とそれ以外の世界にいる三成ならなおさらだ。同じように、家康は三成のような激情を持ち合わせていない。
 先ほどの相性がいいという家康の言葉が蘇る。

(ああ、全くその通りだ)

 官兵衛は吐き捨てた。

 脳裏に抱きあう三成と家康は、己の欠けてしまったものを補い合うように、強く互いの背に腕をまわしていた。

 

 

 ・・・▽▲は太陰のマークみたいに足してはじめて奇麗な円になると思うとかいっちゃって・・・今更すぎる。
 あと、ボコりボコられの関係がすごく上手くいくなーと今更に思う。で、ポエムったきめぇ。いろんな要素を詰め込み過ぎてイミフになっている。
 実は半兵衛よりも官兵衛の方が傘下時代の▽▲のずれに気づいてたらとか妄想やまない。「権現、あいつはお前さんが考えるほど頭は良くないぞ」とか「ただのSだぞ」とか「わりかし行き当たりばったりの大馬鹿だぞ」とか「お前さんもお前さんでため込むのがよくないんだぞ」とか家康説き伏せて家康もそれに耳を傾けてたら案外「それじゃ駄目なんだ、み「家康ぅぅぅぅぅぅ!!!!」」回避可能なんじゃないかとか妄想が止まない。

 そろそろ「なぜじゃぁぁぁ」と官兵衛と全国の官家派に枕下に立たれそうで怖いれす^p^まじごめんなさい






 あ、あと無節操だからミツカンもありって・・・いっちゃたりして・・・

 

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