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幸家♀だけ書いて、ちょっとオフ奔走します。
現パロ。お互い記憶あり。ルートとかは意識してませんが、何故だろう、管理人が書く幸村はあまり破廉恥と言わない。
保志ボイスで「問題は見目の姿にあらず!魂の姿が問題なのだぁぁ!」と再生され、すかさず「その通りだ真田!ファイトー!」「いっぷぁぁぁぁぁぁつ!!!」と続く。
知ってる末期\(^o^)/ちなみに魂の姿ルールは孫市姐さんにも適用されそうですwww
「いざ参る!徳川殿ぉぉぉ!!!」
幸村はそう吠えるやいなや、間合いを詰めると飛びざまに竹刀を振り下ろした。幸村らしい、一直線の刃筋だった。
「くっ」
戦意が伺いづらい、下段に構えていた家康はそれをなりふり構わずといった具合に竹刀を振りあげ、はじく。半袖の胴着から覗く腕は幸村よりも若干細くて白い。一生懸命力んでいるはずなのだが、やはり女のたおやかな腕という印象はぬぐえなかった。
無様な受け方だった。昔だったらいざ知らず、今、家康と幸村の体重差は奇麗に逆転している。腰を入れて受け止めると言う手は通用しない。3秒と持たず、今の家康はつぶされてしまうだろう。
「はぁっ・・・」
力が足りない。
それは女の身体を持つようになってから家康が痛感する最たることだった。振りあげた力を殺すことなく、第二撃を弾くために使う。そうやって物体の運動の力を借りていかないと、今の幸村には拮抗することさえ難しい。
焦燥に駆られるらしくない吐息が家康から洩れでた。
(違う。違うんだ・・・)
気弱な言葉が身体をこわばらせる。伝う汗が、冷たく感じた。
ワシは真田と魂のぶつけ合いがしたいのであって、剣道の立ち合いがしたいわけじゃないんだ。なんて、言った所で通じる相手ではない。ここが武田道場であり、試合の相手が真田幸村である限り、家康の望む魂のぶつけ合いの形は到底、実現不可能だった。
幸村の爛々と燃える双眸が、家康の目に飛び込んでくる。防具を一切付けていないために、視界は極めて良好だった。
瞬間、電撃にも似た衝撃を伴って懐かしい恐怖と興奮の味が家康の身体を満たす。逃げ出したいと言う女々しい気持より先に、うずうずと心が喜びに震えている。だというのに、己は竹刀を握ってしまっている。そのもどかしさに、家康は歯を食いしばった。
「うおおおおっ!!」
武芸の誉れは槍に留まらないのか、使い慣れているとは思えない幸村の竹刀さばきはなかなかのものだった。斬撃の嵐を、ぎりぎり、本当にぎりぎりで逃げ切るのが精一杯だ。
(いや、)
独眼流なら。三成なら。
脳裏をよぎる刀の使い手たちは、幸村をあっという間に下すだろう。猪武者の幸村の攻撃には隙がある。隙だらけといってもいい。その暑苦しい気迫にさえ飲まれなければ、今の家康にだって勝機はある。
(駄目だ、駄目なんだ)
家康は間合いを広げて首をふった。
そして何度も同じ問いを繰り返す。
(ワシは何をしている―――・・・・?)
勝負でござる!と幸村は大きな声で答えるだろう。確かにそうだ。でも違う。
幸村の虎の魂はその中に見出すことができる。家康は斬撃の中に猛々しい虎の姿を見た。
ではワシは、それに何を持って応える?ワシの魂は、この柔らかく脆い身体に灯る光をどうすれば幸村に伝える事が出来る?
己の全てをかけ全力で向かってくる幸村をかわし打つ。そしてこの試合に勝つ。それで、ワシは己の魂を語りえるだろうか――――・・・?
「――――違う」
家康は短く呟いた。この少女は笑うと可憐だったが、真剣な顔をするとそこらの野郎よりもはるかに男らしく見えた。
家康は間合いを測り直す。また下段に構えると、家康は幸村を見た。思えば、今日の立会いの中で、初めてまともに幸村の顔を見たような気がした。
同じように獲物との距離をはかる――幸村を捉える。
家康の表情が冴えた。先ほどまでの防戦一方の試合運びを断ち切るには十分な変化だった。
「―――っ!!」
疾い!幸村が声を出しそびれる程に、家康は幸村の鼻先にまで間合いを一気に詰めた。正確には、何か意志の炎を灯した家康の姿に幸村が無意識にも一瞬見とれたといっていい。
打たれる、そう思った瞬間幸村の身体を駆け巡るのは恐怖に冷えた血ではない。逆境に熱く燃えたぎる赤い血が幸村を突き動かす。
家康は確かに幸村が獣に変わるのを見た。
「某はっ!負けぬ!!」
同情の梁から試合の様子を眺めていた佐助が顔をしかめる程、幸村の放つ一撃はすさまじかった。
◆
「旦那~、勘弁してくれよ~」
佐助がふざけた調子で本気で嘆いた。
徳川家康という名前をしていても、あれは少女だ。連日連夜、その場のテンションだけで防具なしの試合を申し入れ、ばかすかと打ち負かすなど言語道断。竹千代様親衛隊もとい三河武士の皆さまは健在なのだ。お得意の人海戦術を使われたらあっという間にスルメの親戚にされてしまう。
タフさは健在か、こてんぱんに負かされても家康は眉を下げて「いやー、勉強になった。やはり真田は強いなぁ」なんて大人の対応をしてくれたが、こちらはふた昔前の駄々っ子のようなありさまでふてくされている。一体どっちが年上なのか知れない。
どこで育て方を間違えたかなぁと佐助はぼやく。
「大将・・・じゃなかった師範の耳にまで届いちゃってんだからねー。ってわけで俺様からのお説教はなしの方向で行くけど」
「けど」と逆説でつないでおきながら佐助の小言は止みそうにない。それを「・・・佐助」と、幸村が阻んだ。重々しい口ぶりに、ついつい従者としての本能から佐助の表情が引き締まる。
少しだけ言葉を溜めて、幸村は尋ねた。
「今の徳川殿は、本当に女子か?」
「・・・え?」
当たり前じゃんといいかけて、佐助は言葉に詰まった。己の主人は冗談なんて言わない。本気で、現代の徳川家康の性別を疑っていると思い知らされたのだ。
「俺には到底信じられぬ」
「・・・。・・・」
佐助にだって思い当たる節はある。あの幸村が、ご立派な胸をお持ちになって転生した家康を目の前にしても何も反応しない。目の前にいるのは東照権現と呼ばれた男であると言わんばかりのスルーぶりに何度佐助が首をひねったか知れない。
「女の子・・・だよ。多分。うん、きっと、・・・・そう」
「徳川殿の身体は――――今でも鋼のようだったぞ」
「!?」
驚愕とともに佐助は「更衣室覗かなくてよかった・・・」というとんでもない感想を漏らす。脳裏になんだか残念なコラージュ映像が流れていった。
しかし言われてみればなんとなく納得してしまいそうだ。何せ相手は、徳川家康という名を持つ、少女なのだから。
幸村の表情は相変わらず和らぐ気配を見せない。それだけじゃない、微かに、武者震いすら起こしている。
「間違いない。間違いなくあの御仁は徳川殿にござる。この真田幸村、魂をぶつけ合い戦った者を見誤ることはない!」
自分で喋りながら熱くなってきたのだろう、天を仰いで「故に!!間違いなく、今の徳川殿も漢ぉぉぉぉぉ――――!!!」などと抜かす。佐助はそこまでは同意せず、「いやぁ・・・それはないっしょー・・・」と呟いた。
と、そこへ、
「幸村ァァ!!」
「お館様!!!」
道場の気温がぐんとあがったようだった。信玄の登場に幸村が転がるように駆けよってくる。敬愛する師範代の後ろに、(失礼極まりない表現だが)なんだか本物の女の子みたいにしずしずとついてくる家康の姿を見つけて、ちょっとだけムッとした。そう言う所はまだまだ幸村は子供じみていた。
少しだけ距離を離すように家康は幸村の隣に正座する。その重苦しい空気に、当事者ではない佐助が「ああ、始まるよ・・・」とこれから始まるお説教と殴り愛に頭を抱えた。
道場の上座に仁王立ちした信玄が開口一番尋ねた。
「幸村よ。連日、竹千代と試合をしているそうだな?」
「はい!徳川殿は昔と変わらぬ肉体と魂を持つお方!この幸村、全身と全霊を持って戦いま「馬鹿者ォォォ!!!!」」
重い一撃が幸村の頬を捉える。殴られたわけでもないのに、家康は表情をますます酷いものにした。
「お館様・・・?」
道場の隅まで吹き飛ばされた幸村は、疑問符を頭に浮かべまくって信玄を見る。がばっと起き上がるあたり、アドレナリンの出過ぎで痛みが吹き飛んでいるのだろう。信玄の視線が家康に注がれているのに気がついて、やはり気を損ねながらもそれに倣った。
暑苦しい男どものせいで部屋の温度が上がったからだろうか、佐助の鼻が、真実を見抜いた。
「―――!?徳川の旦那、あんた・・・」
「竹千代、見せてやれ」
思ってもなかった言葉なのだろう。狼狽した風に、「しかし」と家康が口走る。信玄に「やはりその姿を憚るか?」と聞かれ、ゆっくりと首を振った。―――横に。ちら、と幸村を見る。気にかけているのは己ではなく幸村の方だった。
「・・・。・・・」
家康の瞳がわずかに揺れる。今にも倒れそうなんだと、佐助だけが表情を読み取った。これだけ軟膏の匂いがするのだ。傷の生み出す熱が身体を蝕んでいるに違いない。
家康の手が己の懐に伸びる。
ためらいもなく、するすると身につけているものを脱ぎ始めた。
「――――んなっ!!?」
破廉恥!!!
喉まで出かかった言葉は引っ込む。照りかけた頬は、寧ろ血の気を失って青ざめた。
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