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幸家♀後半。
どうしてこう破廉恥破廉恥いう人が破廉恥なマネに出るかとか突っ込んだら負け。
家康の身体は。
幸村によってつくられた痣で真っ赤に染まっていた。
「・・・。・・・」
首から肩にかけて。腕から手首にかけて。わき腹。胸。皆々、痛々しいまでに変色している。ぴんと背筋を伸ばす姿が逆に痛ましかった。
「徳川・・・殿っ」
信じられないとばかりに声を漏らす。確かに幸村は家康を打ちすえた。しかし、その手ごたえは鉄を打ったように硬くて、厚い筋肉に覆われたのようで―――・・・。
目の前のいたいけな少女とは、決して結び付くはずがない。
伏せ気味だった瞳がゆっくりと幸村を捉える。「真田」と呼びかける声は、優しかった。
「・・・ワシは、武器を捨てた。それは、今も変わらない。戦いの中で・・・、ワシはどうすればお前にワシの魂が変わらずあると伝えられるか、それだけを模索していた」
「・・・・」
「ワシは、全てを受け止める」
「―――っ!」
短くも重い決意の言葉が幸村を戦慄させる。
「それが、ワシの決意であり、魂の姿だ」
「徳川殿・・・!!」
幸村が膝をついた。瞼の裏に幸村に打たれてもなおほほ笑み、下段の構えを取る家康の姿がよぎる。淡い笑みは、痛みなど一切伝えてこなかった。
信玄は幸村がごくりと生唾を飲んだ事を見逃さなかった。
「幸村よ、お前は何を恐れた?竹千代に刻まれた太刀筋には焦りの色さえうかがい知れるぞ」
「はっ、某は・・・某は!徳川殿の魂を目の当たりにしておりました!それが徳川殿の今の身体にも乗り移ったと思うほどに・・・!また、徳川殿の拳と某の槍が、命を賭して相まみえる時が来たと思うほどに!!」
突き動かされるように竹刀を振るった。家康が、意図的に一度も反撃してこないと気づけない程に。
信玄が深く頷く。
「うむ!そして竹千代!そなたも幸村の中に幸村の魂の姿を見た、そうであろう?」
どうも家康の今の性別への配慮が残るのか、信玄の声にはつくられた温かみがある。それが、家康の弱さを誘発した。
痛みを隠すように身をかがませながら服に袖を通していた家康がこくり、と頷く。普段の元気がない。
幸村の突き刺すような視線が、じわじわと襲ってくる熱と痛みに以上に堪えるのだろう。顔が青い。
幸村も家康も互いを認めている。殺し合った仲とはいえ、怨嗟や利害衝突がない。性格的にも気が合わないとは思えない。だというのに、いつもこの二人の間には冷たく湿気た風が流れていく。
互いが互いを化け物を見るような眼で見ているのだ。
信玄は短く嘆息した。
◆
その夜、幸村は夢を見た。家康の夢だった。
鏡台の前で正座をし、家康が己の傷を見つめている。幸村がつけた、痣だった。
今の家康の寝巻きが想像つかないのか、凹凸の激しくなった家康の身体は着流しに包まれている。それをやはり何のためらいもなく、家康が脱ぐのだ。所作こそ諸肌脱ぎだったが、豪快というよりは滑らかな仕草だった。
「・・・・」
幸村は息をするのさえ忘れてそれを眺めていた。
する、と着物が家康の肌を流れていく。覗く肌は、自ら照るようなキメの細かさを有していた。陶器のような冷たい色はしていない。血の通った、白乳色の肌だった。
制服や胴着の上からでは分からない。家康の身体があらわになる。昼間見た薄桃色の下着の下に隠れていた胸がおしげもなく覗く。激しく打たれた肩の痣の緑が、じわじわと形良い乳房を犯していた。
鋼の肉体などどこにあると言うのだろう。家康の身体は、本当に少女、というより女の形をしている。押せば柔らかく、握れば折れてしまいそうだ。
「・・・真田」
こちらの姿が鏡に映っていたのだろうか、叫び声を上げる代わりに、夢の中で家康は幸村を呼んだ。どこか子を呼び付けるような調子だった。
つられた幸村が無言で一歩を踏み出す。あの幸村の前だと言うのに、家康は着物を直すこともしない。表情に、恥じらいなど一切なかった。
「おいで」
なにかの呪術に嵌ったようだ。幸村はぼうっとした頭のどこかでそんな感想を漏らした。膝から崩れた幸村の前に、家康が座り直す。その目に焼き付けろとばかりに、痛々しい身体を晒した。
「やめてくだされ・・・」
「何を?」
「某は・・・」
「ん?」
「そのような顔をするな!!」
そこで目覚めた。
息荒くあたりを見回せば、暗がりの中に己の部屋を見出すことができる。
しかし、瞼にはあの妖しい頬笑みが残っていた。
◆
「傷を見せてくださらぬか?」
そう、唐突に幸村は家康に尋ねた。
人気がなくなったとはいえ、教室のど真ん中だ。家康の傷は専ら制服に隠れてしまっている。それが幸いだったし、不幸だったともいえた。
からりとした笑みを浮かべていた家康の顔が曇る。「・・・。・・ここでか?」とおずおず尋ねてみるが、幸村は無言でうなずいた。
家康に、断る選択肢はなかった。幸村の真剣なまなざしの前に、思い浮かばなかったと言っていい。
家康はゆっくりとセーラー服のホックをはずす。焦らしているわけではなく、一体どこの傷を見せれば幸村に破廉恥呼ばわりされずに済むか迷った証だった。
うなじから背にかけて肌を晒すようにセーラー服をずらせば、紫色に変色したそれが覗く。襟を大きく広げた姿は妙に色っぽかった。
顔が見えない位置でも、幸村が息をのむ気配がしたのだろう、「もう熱は引いた。心配するほどのものじゃないぞ」と家康が言う。馬鹿みたいに明るい調子だ。
「触っても?」
「あ、ああ」
本能は拒絶を表していた。同時に、頭に即時即行の退却命令を出している。
何かが違う。平生の幸村とは違うと気配を感じている背が震えだす。そこに幸村の指先が触れた。
家康は息を止め、体中を駆け抜ける刺激に耐えるのでいっぱいいっぱいだった。
何も言わないことをいいことに、幸村はどんどん大胆になっていく。指を一本二本と増やし、家康の首の細さを確かめるように動く。
「さな、だっ・・・!」
振り向きたい。しかしその間に確実に殺される。家康の身体を支配するのは、虎の牙に怯える恐怖だった。
かたかたと歯の根が合わなくなってきている。と、同時に下腹部が疼いた。
「・・・」
幸村は答えない。言葉をなくしたのか、返事とばかりに家康の肌に口づけた。唇の先だけで傷の熱を確かめようとする。
これは、痛む筈だ。笑ってなどいられない筈だ。
「あ ああ、あ」
気づくのが遅かったが、家康の手はすでに幸村に塞がれていた。「受け入れる」そう幸村に言い放ったあの頬笑みを繰り出す余裕はない。
神の頬笑みを試す虎の牙はもうそこまで迫っている。
長くなりすぎましたごめんなさい・・・。
幸家、映画でたらふえないかなぁ・・・とひそかに期待していますノシ
ここからイタイぼやき(映画HP見てきた)
幸村VS家康って構図からはどうしてだろうか戦国時代の終焉ってイメージがついて回る。戦国の世でしか生きられない幸村とその武功の時代を断ち切ろうとする家康みたいな。幸村だけどうも武道から士道へのシフトチェンジができずらそうと思っているのが原因かと。
とはいえ家康も家康で戦国時代を生きている人間をリスペクトする感情を持ち合わせていから、内心悩む→ふっきれて「絆!」みたいな流れを妄想してもぐもぐしてる。川中島乱入中、同じ師を仰ぐものとして兄弟子みたいに接してほしいのに「漢と漢が己の命運をかけた一騎打ちに水を指すなど!貴殿の振る舞いは武士の風上にも置けぬ!!」とか言われてしょげるやっさんおいしいもぐもぐ。三成あたりが慰めてやってくれるとなおぷまい。
あ、ギャグにするとよそよそしくお互いがお互いを無駄に高め合います。褒めちぎって帰ってきません。
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