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やっさんドマイナー祭りはじめます。
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きっと今年もマイナーどころでふらふらしますがよろしくお願いいたします。 

 まさか去年の自分はブログの書き始めが官家だとは思うまい・・・幸家♀と最後まで悩んだけどマイナーすぎて投石されそうなので逃げます。



 

 


 自分は運が悪い。大谷に言われなくても官兵衛はそれくらい自覚していた。同じくらいに、徳川家康という男が異常に天から愛されているということも知っていた。
 嫉妬しなかったと言えば嘘になる。少なくとも豊臣傘下として同じ釜の飯を食っているにもかかわらず、こんなにも降りかかる火の粉には差が出るものなのか。なんて、一人やけ酒に走った日もあった。
 そう、そんな日もあった。

 

 

「おー、権現。お前もつまみをあさりに来たのかー?」

 人気のなくなった勝手にぽう、と小さな明かりがともっている。こんな時間に腹をすかせて現れるのは鼠か自分くらいだと思っていたが。
 ここへ来る前にも一杯ひっかけてからやってきた官兵衛はご機嫌な口ぶりで家康に声をかける。大げさすぎるくらいに肩をびくつかせて、家康は流し場に何かをぶちまけた。
 軽い音がしんとしていた広い勝手の静寂を破る。もくもくと冷えた夜闇に白い湯気が上がった。

「小豆?あんこでも作る気だったのか?」
「あ、ま、まあそんな所だ」

 ははははは、と乾いた笑いを漏らす。別に咎める気は全くなかったのに、家康の顔は真っ青になっていた。

「そんな顔しなさんなって。誰にも言いやしねぇよ」

 そう、オーバーに肩をすくめてみせる。空になった万古焼の熱燗瓶を家康に押し付けるように持たせると、まだびっくりしていて魂が抜けたようになっている自分の部屋に連行した。むさくるしくとも酌の相手くらい欲しかった。

「官兵衛、わしもう寝ようかと思って・・・」
「何言ってんだ権現、お前さんだってここで鬱憤たまってるだろ?飲めないわけじゃねぇんだ、一緒に飲んで忘れようぜ」
「でも、そのだな・・・」

 どうも官兵衛の部屋で官兵衛と二人きりという状況が家康には居心地が悪いらしい。しきりに足をむずむず動かし、目は常に廊下の方を見やっている。人の気配を探っているようにも見えた。
 官兵衛にやましい気持ちは全くない。色小姓として連れ込むにしては家康はとうが立ち過ぎているし、なによりあの戦国最強の制裁が恐ろしかった。
 不満そうに官兵衛が口をへの字に曲げて見せれば、流石は家康、空気を呼んだ。

「一杯だけな。流し場を片づけていないし・・・」

 そう、官兵衛の万年床を座布団代わりにして酒を受ける。もっともっとと入れようとする官兵衛を拒否するように酒は猫も酔えないような量しかそそがれなかった。

「権現~」

 付き合いが悪いとアルハラ気味に迫れば、逃げるように家康が杯を空にする。なんとそのままそそくさと立ち上がろうとするではないか。

「おい、どうしたん・・・」

 官兵衛は遠慮も憚りもなく腰のあたりの布をひっつかんだ。こっちは酔っぱらい、あっちは素面だ。これくらいの力で掴んだ所でびくともしないだろう、そう、まだ酔いきれていない頭のどこかが呟いた――――その時、

「う・・・ぐ・・・んっ、」

 家康の身体は与えたられた力に抗うことなく運動した。ろくに受け身も取らず、痛い音を挙げて畳に倒れ込む。

「権現!?」

 官兵衛の酔いが吹っ飛んだ。並べていた乾物の類を端に寄せると家康のもとに四つん這いで駆けよる。
 小豆を洗っている所を見られた比ではない。家康の様子は明らかにおかしかった。陸の上で溺れているかのごとく、肩で息をし、身体を震わせている。

「おい、お前さんどうしたんだ!?」

 返事はない。そんなものができる余裕はない。家康は必死で息を吸っているが、肺にはとどいちゃいないようだ。胸を押さえ横に転がれば、整理整頓されていない書面の束が崩れた。

「権現、――――家康!!」

 その呼び声に、やっと家康が息を整え始める。掠れた声で「ど、く」と呟いた。

「な、ど、毒だぁ!?」

 言うまでもないが官兵衛は混乱した。降ってわいた、そしてこの状況を説明するのにぴったりすぎる一言に、完全に頭を持ってかれてしまったと言っていい。


「小生じゃないぞ!!」

 慌てて叫ぶ。いらん弁明だった。三成や大谷ならともかく、官兵衛が家康に毒を盛る理由は全くない。同じ酒を飲んでいる官兵衛に異常がないし、そもそも家康を台所で見つけた事自体が偶然の産物だったのだ。

「違う・・・」

 と、家康が短く否定した。もう、明かり見る事さえ体力を削がれるのか、乱れた髪も構うことなく、あられのない姿勢のまま訥々と語りだす。
 家康は近いうちに半兵衛の命で戦を交えているさる国との秘密交渉にやられる手はずになっていた。軍師に裏切りを持ち掛け、平行線の戦を終わらせることが家康に与えられていた使命である。官兵衛もその話は初耳だったが、戦自体は己もかかわっていた。向こうは厭戦気分が充満してきていて、殿さまとその取り巻きだけが息まいている。少しつつけば内部からおのずと崩壊しそうな末期の状況になっている。

「毒殺を免れるために・・・耐性をつくらなくてはいけなくて・・・」

 とはいえ、裏切りの代償は大きい。かといって持ちあがった話をないがしろにすればそれこそ豊臣が黙っていない。迎え入れられる豊臣の使者がどう扱われるかは七、三の割合で暗殺され、時間稼ぎに使われるのは目に見えていた。
 確かにその手の話は家康の十八番だろう。体力的にも申し分ない。半兵衛からの命が下りた日から家康は少しずつ毒の体勢をつけるため、あえて自分で毒を飲んでいたのだと言う。小豆のゆで汁は、含み過ぎた毒を吐きだすための解毒薬代わりだった。

「今日は・・・そんなに、」
「もういい、喋るな!!」

 氷のように冷たくなっていく家康の手を握りながら官兵衛が叫ぶ。こんな時でさえ、人を安心させようとする家康の笑みがなんだか寂しいものに見えてしまった。

「待ってろ、今医者を」
「だめだ!」

 家康がやっと人らしい声を出した。官兵衛の大きな手を掴み返そうとしているのだが、いかんせん力が入っていない。何度も官兵衛の手の平を家康の手が滑った。
 ごほごほと苦しそうに咳きこんでから家康は官兵衛の目を捉える。苦しさで眇められた瞳は、滲んだ涙のせいできらきらと光っていた。

「この話は、豊臣内でも漏らすわけにはいかねぇんだ・・・」

 もはや自分で自分の身体を支えられないのだろう。身体をすりよせるように家康は官兵衛の胸に顔をうずめた。官兵衛の巨体を使って身を起こそうと奮闘するのだが、上手くいかない。官兵衛の肩に頬を乗せると、耳元でも聞こえるか聞こえないかというような声で囁いた。

 頼む、官兵衛。

「運が悪かったと思って、このまま一緒にいてくれないか・・・?」

 


 部屋が寒くて手がかじかみ、戦国最強→戦国最小。家康→いやSとミスタイプした。一人で吹いた。そんな2011年。
 微妙に続く?のか?
 

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