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やっさんドマイナー祭りはじめます。
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 竹千代時代に孫市と会ってたらってだけの話(姐さんが年齢偽証過ぎてすいません。織田、豊臣とやっさんや姐さんのもろもろの出来事は見事にスルーしてます)

 



 


 仕事柄、孫市はあまり子供と接したことがない。

 

 自分もまた子供だったことは確かだが、昔の事すぎてどんな風に扱われていたのかよく覚えていない。元より自分が子供らしく扱われたことがあったかどうかも怪しいものだ。
 その手に持っているものは玩具ではない。本物の火器、銃だ。いつからこれを持っているかは、孫市自身、忘れてしまっている。身体の一部のように感じている。それほどに付き合いが長かった。

「雑賀孫市だ」

 だからだろう、竹千代に対する孫市の言葉は酷く冷たく聞こえた。別段気にしはしない。氷や鉄を思わせる温度の声の方が性に合っている。
 あやし声など、喉のどこを使えばいいのかすらも分からなかった。

「おめぇが・・・?」

 竹千代も竹千代で気にしていないらしい。というより、忠勝の代わりにつけられた守役が若い女であることが意外でたまらなかった。三河の面々はどうも年長のものが多い。父親や爺を思わせる年代の男どもに囲まれていた家康にとって、若い女は乳母やを手伝う女中くらいなものだろう。
 当然、戦場に出てくるような人種ではない。
 戦場とは、男のものと相場が決まっている。

「おめぇみてぇな女が、いくさで戦えるのか?」

 竹千代が悪ガキの顔を見せ、鼻で笑う。契約者という上位の立場を使っているのではない。純粋に女という存在を戦場の戦力外とみなした顔だった。問いかける口調は素だ。それ以外の何でもない。

「・・・・。・・・」

 孫市は何も言わない。酷い侮蔑の言葉であったが、相手は男でしかもガキときている。正真正銘のカラスだ。そう思った瞬間子供の契約者、という竹千代に与えられた属性が消えた。
 無言で竹千代の側に歩み寄る。あっという間に竹千代を取り巻く護衛のラインを突破し、その広いでこに指はじきをお見舞してやった。
 ただ歩いた。予備動作もない、当たり前にやってのけたという感じだった。
 あたりに額の当たる小気味いい音と「いってぇ!!!」という可愛げのない悲鳴が上がった。
 竹千代がもんどりうって倒れれば、「竹千代様!!」「貴様、竹千代様に何を!!」と取り巻きがどよめく。中には剣呑にも武器を手に取ろうとしているものもいる。それに気づいたのは孫市だけではない。竹千代もまた戦の地に立つべく生まれた者だ。まだ槍を振るう様は危なっかしいが、采配を振るうため軍の様子には敏感だ。「やめろ!」と短く命じかけて、言葉を飲み込んだ。

「フン・・・」

 孫市の顔が見えた。しれっとしていた。
 三河武士の実力を舐めているのではなく、柄にかけた手に殺意が感じられなかったためだ。
現に孫市は武器に手を伸ばす気配すらない。ピンと張り詰めた雰囲気を残したまま、どこか悠々とこの修羅場を楽しんでいる。
 それを見て、

「はは・・・!」
 
 竹千代は一発で孫市が気にいった。



「孫市!孫市!!」
「徳川、貴様が何故ここにいる?」
「おめぇと話がしたくて!」
「カラスめ」

 しんがりからお前を守るのが我らの役目。敵兵が追ってきているというのにお前自身が最前線に出てきてどうする。
 そういいつつ孫市はまたでこピンをお見舞いする。児童虐待も甚だしい行為だったが、とうの竹千代は平気な顔だ。寧ろこんなにもあけっぴろげに己と接してくれる大人が現れたことが仕方がなく、メンテナンスに置いてきた忠勝シックに陥る気配もない。

「へへへ、」

 とおでこを押さえ、ふやけた笑みをこぼす。三河武士100人に100人が堕ちる天使の笑顔だったが、生憎若き雑賀衆の頭には効かなかったようだ。じゃれついて腰のあたりに抱きついてきている竹千代を、猫をつかむ要領でひきはがすと慌てて迎えに来ていた三河武士に放ってよこす。

「孫市!すぐには里に戻らないんだろ!!」
 
 そう、隊列の中央に戻されつつある竹千代が三河武士の肩の上から叫んだ。目の中にお星様でも飼っているのか、爛々と輝く顔は生気にあふれている。
 子どもとはあんな顔をするものなのだなと孫市は思った。

「三河に帰ったらいっぱい話そう!ワシにも銃の使い方を教えてくれ!!」

 あーとーでーなー!

「・・・カラスめ」

 きゃっきゃっとはしゃぐ子供の声は不快ではないが、ここが戦地であることを失念させやすい。孫市はわざと忌々しく呟くことでどこか竹千代の声に癒されている自分を叱咤した。

 遠筒を通し、孫市は徳川軍の進行経路に警戒を行う。大将である竹千代を真ん中やや後ろ目に配置し、いつでも雑賀衆が駆けつけられるようにしてあった。

「―――二時の方向の崖」

 短く孫市が指示を出す。

「了解、偵察班を回します」
「徳川軍にも停止の命を」
「駄目です!もう先頭は崖下にさしかかりつつあります!!」

 大所帯が仇となったか、と長くなってしまった隊列に孫市が舌打ちしたその時だった。
 馬の嘶きと怒号がこだまする。足場の悪い細道では部隊を展開することもままならない。頭上を押さえられ、戦闘集団は銃弾の雨を浴びるのが遠くに見えた。
 心の中で何かが爆ぜた気がした。

「徳川!!!!」

 孫市が単身、馬を駆る。
 濃くなる消炎の匂いに心の臓が踊り狂う。背中に冷や汗が伝う。
 こんな感覚は久しい。

(そうだ、今のあいつと大差ない年の頃の話だった)

 余計なことを考えている暇はないというのに。孫市は初めていくさ場に立った日の事を思い出していた。あの時同様、身体は変に固まってしまっている。かかっているのは自分の命ではないというのに、緊張で上手く前に進めない。

「くっ!」

 間にあえ、間にあえと焦りから手元が狂う。ぐら、と傾いだ視界を認識した瞬間、いくさ人としての孫市の身体感覚が冴えた。バランスを崩した馬の鞍を蹴ると孫市は無傷で地面に降り立つ。
 その一瞬を敵兵が逃すはずがない。絡みつく死線にびりびりとうなじのあたりが震える。振り向きはしない。動くことをやめればその先にあるのは死であることを孫市は嫌というほど心得ていた。
死に花をそこら中で咲かせつつ、孫市は竹千代を探す。
 もう名は呼ばない。敵の狙いもまた竹千代なのだ。この混乱の中、小さな大将を見つけ出すのは至難の業。しかし、孫市が呼べば、あの無邪気な子供は返事をするだろう。「ここだ!」と手をぶんぶんふるかもしれない。

「あいつならやりかねん」

 起りうりそうな事態に悪態をついた。なにせ相手はカラスなのだから。
 孫市の目が捕食動物のように鋭くなる。戦況を即座に判断し、元の隊列の姿を思いえがく。馬の地なりは遠くへ分散していない。そこまで列が乱れたわけではないようだ。
 だとすれば竹千代は―――――、
 思わず転がった死体を見やる。折り重なるように積み重ねられた四肢はどうやら馬ごと体当たりを食らったようだった。そこからずるりと、何かが這い出た跡がある。深い森に躊躇することなく飛び込んだ形跡を見た瞬間、孫市の確信は本物になった。
 孫市もまた黒い森に飛び込む。夜が来たのではないかと錯覚してしまうほど、うっそうとした森の中は暗く、湿気ていて――獣臭い。そんな中でも孫市の鼻は確かに血の匂いをかぎ取った。

「―――ッ!」

 小銃を収めた。遠町筒をとりだすと息を吐きざまに狙いを定める。森を抜けた先、微かに見える光の中で何が起きているのかを瞬時に理解する。

「―――」

 獣相手に言葉はいらない。足場を整え、瞬時に的を引き絞る。
 ここからでは点のようにしか見えなかったそれを、狩人は一発で仕留めた。

「徳川、無事か!」
「ハァ、ハァ、ケッホっっ!!」

 今にも首を跳ねられそうになっていた竹千代を救ったのは、いうまでもない、森の中から放たれた孫市の銃弾だった。刀をふりかぶっていた脳天を貫いた弾丸は、男を瞬殺した。
その血のりをべったりと付けた竹千代の息は荒い。孫市が駆け寄ってきても、気が動転して、その場にしゃがみこんだまま呼吸すらままならなくなっている。
 その細い両肩を掴んで孫市が竹千代の名を叫んだ。

「徳川!!」
「あ、あ、ああ」

 眉間にしわがよる。今の孫市には竹千代の気持ちが痛いほど分かる。つい先ほど、思い出したのだ。人の話や事後の現場ではない。目の前にどすんと、死が降ってきた。
己と敵、血の通った人間同士の命が天秤にかけられ、外れた方の重みが赤い液体と共に矮躯に降りかかってきたのだ。
 到底、立っていられるものではない。
 半ばパニックに陥っている竹千代には孫市の姿が見えていない。小さな腕を振り回し、己に触れてくる大人を拒絶しようとしている。孫市がさっと見れば、竹千代を戦場から遠ざけた三河武士の死体が転がっていた。

「安心しろ。もう、大丈夫だ」

 迷いはない。孫市は竹千代を抱きしめた。

「このまま聞け、徳川」
「―――・・・」

 その胸の中に竹千代をすっぽりと覆い隠す。乳母や女中にされるような扱いと孫市の冷めきった声がいい相乗効果をもたらしたのだろう。竹千代は暴れるのをやめた。乱れた息も、整いつつある。小さな鼓動が確かにそこにあることを確かめた孫市は、淡々と喋りあげた。

「お前は我らが守る。その契約は決して違わない」
「・・・。・・・まご、い・・・」

 横にも目がついているのだろうか、森を抜けてきていた敵を孫市は振り向きもせず撃ち倒した。

「そこにいろ、動くんじゃない」

 惚けた竹千代の顔を見て、孫市は初めてほほ笑みを見せた。先ほどの孫市同様、緊張で固まりきっていた身体が弛緩していくのが肌越しに分かる。
 地面にぺたりと腰をつけた竹千代を見て、孫市は

「それでいい」

 と、満足げに呟いた。背を向けて、両の手に銃を持ち直す。
先ほどの敵は一番乗りとしては抜け駆けに当たるものだったのだろう、がざがざと森全体が不穏に揺れている。
 孫市は揺るがない。ありのままの事象として、十数人の敵と一気に対峙しようとしている。
敵の動きを目だけで追いつつ、仁王立ちする姿はどんないくさ人よりも勇ましかった。
 低く、澄んだ声が落ち着きを取り戻した竹千代の心を捕らえた。

「竹千代――――――我らの戦いを、その目に焼き付けておけ」

 


 ――――その日竹千代はこの世で一番強い女を見たという。

 

 


どこまでもかっちょいい姐さんと守られ千代たんがかきたいです。女SPといいとこのぼんぼんみたいな関係が年取って対等に近づいていくのがたまらんとです。やっさんのご趣味が鷹狩りって時点で手ほどきは姐さんだろとうはうはしてる。やっさんの腕が良すぎて姐さんが本気でやっさんを雑賀の跡取りにしようともくろんだら誰にも止められなくなるぅ!

何が萌えるかって、この後再会した3家康が「もう守られてるだけのワシじゃ・・・」といいかけて木端恥ずかしい記憶にキャーする様を妄想するだけでくぁwせdrftgyふじこlp・・・・!!!

 

KGといい黄色ちゃん乙女すぎて生きるのが辛い////
 

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